対 象
年齢が40歳以上65歳以下、BMI 23以上で、本人から本試験への参加の同意が文書で得られた、機械メーカーの男性社員ボランティア18名(年齢54.4 ±7.4歳、BMI 26.1 ±3.6)を被験者とした。上記の中に2型糖尿病(治療中)3例、2型糖尿病(境界域)6名、高血圧(境界域)9例が含まれた。
身体計測および臨床検査
身体計測・理学的検査,血液生化学検査、尿検査については0週、12週、24週の計3回実施した。
加齢に関連する身体機能の評価
加齢に関連する身体機能について筋肉量測定、骨量測定、内分泌検査、動脈硬化の評価、高次脳機能検査を行った。
運動指導、栄養指導
0週目と24週目の健康診断結果を基に、個人別に指導を行った。その際、臨床検査技師、管理栄養士、健康運動指導士が被験者1人1人にあった栄養指導および運動指導を実施した。
運動指導は、健康運動指導士資格を有する理学療法士が行った。内容は、歩数データを確認し歩数増加を奨励すること、そして自宅で実施可能な体操や筋力トレーニングの指導であった。運動指導種目はウォーキング、スクワット、腹筋、背筋、腕立て伏せ、アームカール、キックバック、チェストプレスの8項目であった。
栄養指導は、抗加齢指導士、管理栄養士が行った。内容は、個人ごとに血液データを参考に食事内容を考慮すること、また食事持において食べる順番など簡便な指導であった。
動機付け支援を目的にアンチエイジングドック検診を施行した。本ドックではAge Management Checkシステム(銀河工房、名古屋)を用いて、各データの母集団情報から筋、血管、神経、ホルモン、骨の相対的機能年齢を算出、各被験者に提示した。自己の老化の弱点を理解し、衰えた機能年齢の若返りを目指すことで行動変容を惹起することを期待したものである。
介入期間は24週間とした。期間中は、栄養指導及び運動指導以外の生活に関し、日常生活を維持させた。また、睡眠不足を避けさせた。介入期間は2007年12月18日〜2008年9月30日とした。
試験参加者には歩数計(HJ-710IT、オムロン、京都)を貸与し、機器に自動的に記録された歩数情報(最大42日間まで蓄積記録可能)を月1回定期的に集計した。歩数計には最長42日間分の歩数データが記録でき,対象者はその日から7日前までの「歩数」,「消費エネルギー」,「歩行距離」等の記録を画面でいつでも見ることができた.歩数計情報はUSBケーブルにてパソコンに転送、ウォーキング管理専用ソフトウエア(オムロン、京都)を使用して管理した。データは、運動介入最初の1週間の平均歩数データを「介入開始時(−4週目)」とした。
結 果
本研究では、アンチエイジング企業検診を行い、運動・栄養介入が勤労中年男性の健康指標に及ぼす影響を検討した。本研究は、アンチエイジング企業検診を利用した、初めての介入研究であった。その結果、男性18例と被験者数は少なかったものの、期間中に脱落者がおらず、一定の成果を挙げた。さらに、身体計測値、血液生化学項目等に血管イベント危険因子の改善が多く見られ、介入の効果が示唆された。